withコロナの時代、国際交流はどう変わる?4つのキーワードから変化を解説
コロナの影響はあらゆる分野に及んでいます。日頃から国際交流に関心を持っている人は、以下のような点が気になるでしょう。
・国際交流はコロナでどのようなダメージを受けたのか
・そのダメージを乗り越えるために、どのような試みが生まれているか
・自治体の国際交流はどうなっているか
この記事では上記の3つのテーマを中心に「withコロナの国際交流」についてまとめます。コロナの情勢下の国際交流に関心がある人には、参考にしていただける情報が多く見つかるでしょう。
目次
コロナで打撃を受けた国際交流の現状
画像引用元:公益財団法人・長岡市国際交流協会
コロナの感染拡大を受け、以下のような国際交流の活動が、全国的に打撃を受けています。
それぞれの具体例を紹介していきます。
留学
各大学や高校などによる交換留学、国際交流団体がサポートする留学などが、高い割合で中止あるいは一時帰国となっています。東京大学・早稲田大学・国際教養大学などが、学生の留学プログラムの中止を発表しています。
海外インターン
大学やNPOによる海外インターンシップも中止に追い込まれています。同志社大学・法政大学・國學院大学など、あらゆる大学が海外インターンシップの中止を発表しています。
姉妹都市交流
海外の都市と姉妹都市交流を続けてきた各自治体も、その活動の一時中止を余儀なくされています。長岡市・野洲市・所沢市などが、それぞれの公式ホームページで中止をアナウンスしています。
国際交流フェスティバル
各地で毎年開催されていた国際交流フェスティバルも、軒並み中止となっています。日野市・田原市・南砺市などが、それぞれの国際交流フェスティバルの中止を発表しました。
「withコロナ」で変わる国際交流
画像引用元:麗澤大学
多くの国際交流の活動が、コロナによって停止や中止を余儀なくされています。しかし、これによって逆に新しい発想が生まれ、国際交流の本質を見直すチャンスになっています。
外国人留学生を積極的に受け入れてきた麗澤大学は、コロナの情勢下でもオンラインで積極的に活動しています。たとえば、交換留学生と麗大生がグループで活動する「Conversation Partnership」は、オンラインで今までどおりの活動を継続しています。
さらに、これまで対面がメインだった留学相談会についても、オンラインルールで行うようになっています。相談会のチャネルが増えることで、コロナの収束後もより多くの学生に、留学の情報を提供できるようになるでしょう。
【参考】IT×国際交流の第一歩 コロナ禍に負けずStay Global
これからの国際交流、4つのキーワード
コロナの影響を逆手にとり、国際交流の分野では新しい発想が次々に生まれています。ここでは、具体的な事例を4つのキーワードから紹介していきます。
以下、それぞれの詳しい事例です。
コミュニティ
コロナの情勢下の経済の混乱によって「いざという時に頼れるコミュニティを持つ」ことが重視され始めました。そのため、今後はコワーキングスペースなどで「地元に仲間を増やす」ことが、フリーランスでも会社員でも求められるようになります。
そのコミュニティを、グローバルに形成しやすいサービスとしては、以下の2つが特に知られています。
それぞれのサービスの概要を紹介していきます。
Meetup(ミートアップ)
画像引用元:Meetup
Meetup(ミートアップ)とは、地域のコミュニティを見つけたり育てたりするためのプラットフォームです。こうしたサイトは日本でも昔からありましたが、Meetupは世界規模で広がっています。そのため、
- 日本に住んでいる外国人
- 日本に一時的に来ている外国人
との交流もしやすくなるのです。コロナの情勢下でコミュニティ形成が重視されたことで、外国人を巻き込んだグローバルなコミュニティに参加する日本人も、増えていくと想像できます。
Airbnb(エアビーアンドビー)
画像引用元:Airbnb
Airbnbは「世界最大の民泊サイト」です。世界192カ国の3万3,000の都市で、80万以上の宿を提供しています。
どの国でも、Airbnbを利用する旅人は国際交流に積極的なものです。そのため、Airbnb利用者の間で生まれたコミュニティも、各国に多数あります。
コミュニティの価値が高まったことで、今後は宿の提供を通して「自分もコミュニティに参加しよう」と考える人が増えるでしょう。また、すでにあるコミュニティでの活動も活発になると考えられます。
グローカル
グローカルは、グローバルとローカルを合わせた造語です。コロナの影響下で、ローカル(地元)からの、グローバルな行動も始めやすくなりました。代表的な取り組みは下の2つです。
それぞれの取り組みを詳しく紹介していきます。
バーチャル・バー
画像引用元:オンライン飲み会 ASAHI SUPER DRY VIRTUAL BAR
バーチャル・バーは、いわゆる「オンライン飲み会」です。これを「地元のバーや居酒屋」が活用すると、グローカルな活動を展開できます。具体的には、以下のようなアイディアが考えられます。
- ・店舗の一角に「バーチャル用のコーナー」を常設する
- ・「日本人と交流したい」という外国人が、適当にログインしている
- ・彼らは気ままに会話したり、飲んだり食べたりしている
- ・店舗内の日本人も、彼らと遊びたくなったら、コーナーに行って気ままにしゃべる
このスタイルでは、ローカル店舗が強みを発揮します。理由は、100%オンラインより、リアルとの中継があった方が盛り上がるためです。
「ジャパンが好きな人集まれ!」という英語圏のバーチャル・バーであれば、当然「どこか、日本の居酒屋と中継があったらいいよね」という話が自然に出てくるでしょう。
そうしたコミュニティと日本の店舗がつながり、そのグループを盛り上げていけば「なぜかトルコで有名な秋田の居酒屋」などが登場するケースも考えられます。
在日外国人も活躍しやすい
上のような取り組みが盛り上がると、在日外国人が今までよりも活躍しやすくなります。ローカル店舗が世界とつながろうとしたら「外国人に相談する」のがベストだからです。
「普通の外国人労働者」が、ちょっとした通訳を買って出るケースも多いでしょう。さらに、日本で飲食店を経営している外国人は、バーチャル・バーを直接運営もできます。
(たとえば、インド料理店を経営するインド人・パキスタン人などです)
こうした在日外国人の方々は、その出自で有利になることもあれば、不利になることもしばしばありました。しかし、グローカルの流れが進むことで、有利な部分が増えていくと期待できます。
バーチャルコワーキング
画像引用元:みんなでバーチャルコワーキング! 24時間営業、誰でも無料で参加できます | zawazawa
バーチャル・コワーキングスペースとは、コワーキングスペースをWeb上で運営するものです。現実のコワーキングスペースと同様、他のフリーランスや他社・他業界の人々と出会うことができます。
それぞれ詳しく説明していきます。
外国語ができなくても外国人とつながりやすくなる
舞台がWebであるため、世界規模で人と出会いやすくなります。さらに、文字で会話の補足ができるので、言語が苦手でも入りやすいというメリットがあります。
自動翻訳とビジュアル資料があれば、英語を含めて「外国語がまったくできない」という人でも、自分の取り組みを伝えられる可能性があります。
マイナー言語の国との草の根交流が進む
主要な外国語が得意な人でも、マイナー言語までは使えないことがほとんどでしょう。今までは外国語が堪能な日本人でも、こうしたマイナー言語を扱う国の人とは、ほとんどコミュニケーションが取れませんでした。取れるとしても「英語ができる現地人」に限られていました。
しかし、Web上での会話であればマイナー言語でも意思疎通をしやすくなります。そのため、今まで日本でほとんど知られていなかった国と日本人がつながりやすくなるのです。
日本のフリーランスや中小企業の技術と、アフリカ・中東・東欧・南米などの国々がつながるというケースが、今後は増える可能性があるわけですね。コロナで移動を禁じられたことで「逆にグローバル化が進む」可能性も高いわけです。
マイクロツーリズム
マイクロツーリズムとは「近場観光」のことです。
コロナの影響で、海外旅行に出かけることが一時的に困難になりました。しかし、その分地元にいる外国人との交流を、見直すきっかけになっています。
昔から「海外が好き」「外国人と交流したい」という日本人はたくさんいました。しかし、その人たちの目は比較的「海外現地」に向くことが多かったといえます。
その興味や好意が、コロナの影響で海外に行きにくくなったことで「地元の外国人」に向きやすくなりました。このため、今後「地元での国際交流」が以前よりも活発になると推測できます。
たとえば「ブラジル人と会いたい」のであれば、必ずしもブラジルに行く必要はないのです。日本にいるブラジル人と友達になり、日本人の友達と遊ぶように近場に出かければいいわけですね。
その「近場でのレジャー」の一つとして、マイクロツーリズムが国際交流とつながっていくと考えられます。
マイクロツーリズムの具体例
マイクロツーリズムはまだ生まれたばかりの発想ですが、すでに公的な団体も助成金を出しています。たとえば、徳島県の「イーストとくしま観光推進機構」です。
同機構は「とくしま再発見!『マイクロ・ツーリズム』推進事業助成金」という助成金を創設しています。これは観光業の活性化を主目的とするものですが、さらに国際交流にもつながるものであれば、行政の支援も得やすいでしょう。
今後人気が出る宿泊施設
コロナの影響下でマイクロツーリズムを提唱したのは、星野リゾートの星野佳路社長です。星野社長によれば、コロナの情勢下の観光で人気が出る施設の種類は下のようになります。
- 借り上げ別荘
- コンドミニアム
不特定多数の人と接触するのを避け、少人数でバカンスを楽しめる施設が人気になるということですね。マイクロツーリズムで国際交流を盛り上げる場合にも、こうした種類の施設の活用を念頭に置くと、現実的な企画をしやすくなるでしょう。
【参考】アフターコロナの地域戦略~(2)国内観光はどう変わるのか?~ | Nativ.media
コワケーション
画像引用元:Coworkation.com
コワケーションとは「コワーキング×バケーション」の造語です。ノマドやリモートワーカー達が、一緒に旅をしながら仕事をする働き方を指します。
コロナの影響で、一時的に「旅」はしにくくなりました。しかし、多くの仕事がリモートでできることも、企業や社会に広く理解されました。
そのため、旅が解禁され次第コワケーションは以前より大きく発達すると考えられます。その流れの中でも、各国のコワーキングスペースは代表的な受け皿の一つとなるでしょう。
各自治体での国際交流の事例
各地の自治体も、withコロナの新しい国際交流をスタートさせています。ここでは、以下の3つの自治体の事例を紹介します。
島根県・松江市 | 国際交流員がYouTubeで文化紹介 |
群馬県・みなかみ町 | 台湾との図書交流「Friendship Box」など |
鹿児島県・鹿児島市 | ソーシャルディスタンスを保ちイベント開催 |
以下、それぞれの事例の詳しい紹介です。
松江市:国際交流員がYouTubeで文化紹介
画像引用元:イースターって何?交流員が紹介します!【国際交流員ワクワク動画】| YouTube
島根県の松江市では、コロナの騒動前から「国際交流員」として、市内在住の外国人の方々が活躍していました。コロナの情勢下で人が集まる活動をできなくなったため、新しい取り組みとしてYouTubeでの文化紹介を始めています。
ユーチューバーが「自国の文化を紹介する」という試みは、昔からありました。しかし、自治体が始めたというのが新しい点です(動画は下記のものです)。
今までも自治体が国際交流の分野でYouTubeを使うことはありました。しかし、いずれも「単発のPR企画」的なもので終わっていたというのが実情です。
この松江市のような試みが広まると、自治体にとって動画配信はさらに手軽なものになります。今後の地域での国際交流でも、新しいアイディアやプロモーションが生まれやすくなるでしょう。
【参考】松江の国際交流員、ユーチューブで文化紹介 | 朝日新聞デジタル
群馬県・みなかみ町:台湾との図書交流「Friendship Box」など

画像引用元:新型コロナに打ち勝つ国際交流「3つの実践」 | 自治体通信ONLINE
群馬県のみなかみ町は、コロナの情勢下でも台湾台南市と積極的な交流を続けています。多くの取り組みが成功していますが、その中の一つが「Friendship Box」と名づけられた図書館交流事業です。
- 双方の書籍を相手国に送る
- 現地の図書館に1カ月展示する
- 相手の国に行かずとも、文化に触れることができる
相手国の文化に触れる方法は多くありますが、本もその代表的なツールの一つです。みなかみ町は、県内5カ所の図書館で「台南展」を開催しています。
こうした企画で、子どもたちが幼いうちに「台南」という地域を知るだけでも、将来の国際交流に大きな意味を持つでしょう。ちなみに「Friendship Box」という名前は、書籍をダンボールに入れて送ることから来ています。
鹿児島市:ソーシャルディスタンスを保ちイベント開催
画像引用元:鹿児島市国際交流センター
鹿児島市国際交流センターでは、6月から各種のイベントを予定通り開催しています。ソーシャルディスタンスを保つなど「新しい生活」に合わせたスタイルです。
コロナの情勢下の国際交流でも、必ずしも「新しい企画」を考える必要はありません。これまでの企画を「ソーシャルディスタンスを保って」行うことにも大きな意義があります。
「新しい取り組み」はすぐにすべての自治体や団体が真似できるものではありません。しかし「ソーシャルディスタンスを保つ」ことは、どの自治体・団体でもすぐに再現できます。
このような形で、国際交流のイベントが次々に復活していくことも、コロナの情勢下の国際交流における「派手ではないものの重要な事例」といえるでしょう。
まとめ
withコロナの時代はフリーランスでも会社員でも、地元のコミュニティを持つことが大切になります。そのための場所として、コワーキングスペースは非常に役立つものです。
国際交流についても、当記事で説明したとおり、今後は海外旅行や留学以外での、地元での国際化が進んでいきます。その流れの中でも、やはりコワーキングスペースは重要な舞台になるでしょう。
そうした国際交流を図れるコワーキングスペースは、全国各地で増えています。そして、大阪・難波・桜川のエリアで、最も国際交流が盛り上がっている場所は『コワーキング・レンタルスペースmyx』です。
隣接するゲストハウス『WABI SABI OSAKA』に外国人ワーカーが多数宿泊しているため、myxではリモートワークを行う外国人が多く滞在しています。また、毎月1回外国人スタッフが主催する『Language Exchange』などのイベントもあります。
平常時でもイベント開催時でも、myxであれば多くの外国人とコワケーションを行い、グローカルな人間関係を築きやすくなるでしょう。
withコロナの時代に、新しいコミュニティに参加したい、国際交流を深めたいと思っている方は、ぜひ一度お気軽に立ち寄ってみてください。
—————————————————————————
Official Site
・myx | coworking space
・iNARi GLEAN | cafebar
・WABI SABI OSAKA | guesthouse
・myx | coworking space
・iNARi GLEAN | cafebar
・WABI SABI OSAKA | guesthouse
・myx | coworking space
・iNARi GLEAN | cafebar
・WABI SABI OSAKA | guesthouse